彼女をマリアと呼ぶ日まで

独学ピアノ練習記

6日目 飽きた

 今日はやることがはっきり決まっている。「大きな古時計」を練習だ。

 日々順調にステップアップし、最低限必要そうな知識を蓄えたおれにもう勉強は必要ない。これからはひたすら鍵盤を叩いて指を慣らし、楽譜と鍵盤の位置関係を目と体に刻み込むのだ。

 やることが決まっていれば取り掛かりは早い。電源を入れ、いつもよりスムーズに指の運動を終わらせると、おれは早速練習を始めた。

 

 お〜お〜きなっ……お〜〜お〜〜きなのっ…………お〜お〜……お〜お〜…………お〜お〜〜〜き〜な〜〜のっぽの……ふっっるっっどっけっっっ…………いっ!

 

 飽きるわ! こんなもん!

 こんなもん30分もつづけてりゃ誰だって飽きるわ! よく30分もやったわ!

 せめて別の曲が引ければまだモチベーションは上がりそうなものの、どんどんやる気が抜けていくわ!

 ということでおれは30分経って飽きてしまった。しかし飽きてしまったからといって練習をやめるわけにはいかない。毎日1時間練習すると決めたのだ。

 とりあえずろくに弾けなくてもいいので、まず通しで演奏(?)してみることにした。

 するとどうだろう。やけにモチベーションが上がってくるではないか。

 音楽とも呼べないシロモノであったが、全体像が掴めただけでグッと実感が湧いてきた。

 おかげでもう少しがんばることができた。しかし同時に始めることの難しさも如実に見えてきた。

 古時計一曲弾けるようになるまで果たしてどれほどかかるだろうか。1ヶ月は固い。

 果たしておれは本当に続けられるのだろうか。

 

 ちなみにこのブログの最終目標は「カノン」を滑らかに弾けるようになることである。

 カノンとはあの結婚式でよく聞くちゃんちゃらちゃんちゃらちゃらららららら♪のあれである。

 ものっすごく先は長いのである。

 

 予想だが、このブログの完成は1年前後かかるだろう。完成とは、おれが飽きてやめず、無事目的を果たして終了することである。