彼女をマリアと呼ぶ日まで

独学ピアノ練習記

13日目 コードなんぞや話

 2日も練習を休んでしまった。

 しょうがないと言えばしょうがない。昨日おとといの二日間はあまりに多忙で、金曜に限っては12時から深夜2時半まで立ち仕事をしていたうえに翌日はまた12時からであった。

 だがおれは自分を責めるつもりはない。まさか趣味のために寝坊しましたなどと言うわけにはいくまい。

 仕事ならやるしかないが、あくまで趣味なのだ。熱を出せば寝るし、時間がなければ諦める。

 もっとも、趣味の中では最優先であり、練習が終わるまでは絶対に酒も飲まないし地球防衛軍2もやらない。余程のことがない限り必ず着手する。これがおれに課した最低限で最高の義務である。

 

 しかしまあ、ほどよい休みだったのかもしれない。今日の練習はいつもより楽譜が読めたし、これまで練習した楽譜がなんとなく頭に入っている気がした。とりあえず片手だけならかなりスムーズに弾けるようになってきた。

 そこでおれは今一度勉強することにした。

 おれがいま一番覚えたいもの。それは和音であった。

 おれがやりたいのは作詞作曲弾き語りだ。アニソンを歌の音程通りに弾く技術ではない。

 それには和音が不可欠な気がしてならない。

 ネットで調べてみたところ、特定の間隔の3つの鍵盤を同時に押せば和音が弾けるというのがわかった。

 見ると、CだのDだのまるでギターコードと同じような文字で和音が表記されている。

 おれはもしやと思い、試しにギターでCコードを弾き、その後すぐにピアノのCコードを弾いてみた。

 すると驚いたことに、ピアノもギターも同じ音が鳴った。

 C以外にもD、E、Fと立て続けに試してみた。

 やはり同じ音。弦と鍵盤の色の違いはあれど、紛れもなく同じ高さ、同じ響。

 そう、ギターコードとピアノコードは同じだったのだ!(まあそうだろうとは思ってたけど)

 しかしことは一筋縄でいかなかった。

 たしかに同じ音なはずなのだが、ちょっと違うのだ。

 同じならギターのコード本を開いて演奏してみようと思ったのだが、どうにも音がちぐはぐで曲にならない。

 合う音と合わない音がある。

 どういうこっちゃと思い再度調べてみると、これまた驚くべき発見(今度のはホントにビックリ)をした。

 ピアノコードはひとつのコードで弾きかたが3つもあるのだ!

 たとえばCを弾くにも、ドから始まるドミソ、ミから始まるミソド、ソから始まるソドミがある。

 使っている音の種類はすべて同じだからどれもCになるのだが、当然それぞれ雰囲気が違う。

 つまりそのときどきによってそれらを使い分けなければならない。(たぶん)

 ななななななんちゅう、である。こいつぁーまいった、である。

 おれはピアノをナメていた。少し慣れてきたことで忘れていたが、今日再認識した。

 果たしておれはピアノを弾けるようになるのだろうか。マジで不安な今日この頃である。